小説らしきもの!

 どうでもいい話だけど・・・って、どうでもいい話しかしていないけど!

 十数年前に小説を書こうと考えたことがあった。

 今日たまたま昔のファイルを検索してたら、発見して懐かしかった。

 勿論面白いものではないけど・・・続きが読みたいと思った。

 ここからは、俺の書いた小説らしきものですが、めんどくさいと思ったら今日はここまでで終わってください。

 暇と気力と勇気がある方は、適当に読んでみてください。

 でも、長いのでお勧めしませんが・・・。

 

第1章 出会い

 昨日から梅雨になったと気象庁が発表した。

 雨は今朝まで降り続いていたのに、打って変わって今日は快晴でいつもより鮮明でしっかりした夏を思わせる空の青さが鮮やかでまぶしい。

 昨日の雨で黄砂やpm2.5で汚された空気がきれいになったのか、光が眩し過ぎて突き刺さってくるような鋭さで目に飛び込んでくるから、外を見て家の中に目を移すと一瞬真っ暗になり視力が戻るまでに少し時間がかかってしまう。

 一昨日までは、真夏以上の温度が各地で観測され、真夏以上に暑いとテレビキャスターが叫んでいたのが一転して昨日の雨で梅雨になったものの、こんな晴れ間が出ると真夏が顔をのぞかせる。

 冬の寒さは苦手だが、真夏の暑さや雨は気にならない・・・というか梅雨も含めて夏は大好きで、太陽に照らされていると幸せを感じる、雨の降っている日はそれ以上に幸せだ。

 一人っ子だったせいか、雨の日は一人で居る時間が多く、兄弟と遊べない悔しさもあったがいつからか自然と一人で居ることに馴れて雨が嫌いではなくなった、そして次第に雨が降る日は雨の匂いを感じ、しっとりとした空気を心地よく感じるようになった。

 晴れの日も好きだといったが、子供の頃から蝉の鳴く声を聞きながら一日中遊びまわるのが大好きで、太陽が昇っている間は家の中でじっとしていることなどできなかった。

 今考えると子供の頃から、環境に合わせるだけではなく、与えられた環境に順応しながらそれを楽しみに変えることが容易に出来る適応と言うか順応できる能力が備わっていたようである。

 それが、ここにきて役に立つとは思わなかった。

 俺は、既に39になるが未だ独り身だ。

 そんな何でもない日常が好きな俺に突然とんでもないことが起こった。

 梅雨入りの日に犬を貰ったのである。

 小学生4年の時に近所の犬にお尻を噛まれてからは、小型犬も苦手な俺が・・・それもペットショップから犬をプレゼントされてしまった。

 

 昨日は木曜日で昼からはすることも無く、2時頃からジムに行って少し汗を流した後、帰りの道が異常に混んでいて全く動かない、家まではまだ20分ほどかかる。

 この雨で事故が起こったところかも知れないと思いながら、いつもは見ることも無いペットショップが目に入った。

 子供の頃から動物嫌いで、金魚すら飼ったことがない。

 それがどうしたことか駐車場に車を止めて店の中に入っていた。

 平日でもあり雨のせいかお客は居なかった。

 ペットブームが定着したせいか色々なペットグッズが整然と並べられていて、高齢犬用のバギーまであって需要がこんなにもあるのかと思う。

服やレインコートに加え靴まであるし、お菓子や遊び道具もおいてあって、子供用品と変わらない品数だ。

 見るとはなく奥のほうへ行くと陳列ケースが並んでいた。

 2段になったケースが30個ほど並べられ、裏からえさをやったり掃除をしたり出来るようになっていて、前からは鍵を使わないと開かないような仕掛けになっている。

 猫よりも犬のほうが少し多いような気がする。

 ケースは50センチ程の正方形で一匹ずつ、犬種、性別、誕生日、出身地が書かれている。

 店内は空いているので端から一匹ずつ覗いていった。

 みんな近づくと尻尾を振って近寄ってくる。

 自分が売られていて、飼い主を探している、連れて帰ってもらいたいということが分かっているように必死で愛想を振り巻いている。

 今日は、客も少なかったようでここぞとばかり頑張ってくれる。

 俺はこの年になっても独り者だからまだ結婚願望は無いとは言えない、ペットを飼うと婚期が遅れると言われているが、もともと一人でいるのが好きで手間の掛かる生き物なんて飼おうと思ったこともない。

 まあ、こんな俺がペットを飼おうが飼うまいが結婚とは関係ないことは分かっている。

 まあ、一生ペットを飼うことは無い思いながら一番端のケースにまで歩いて行くと、真っ白くて小さくてモコモコとした子犬が俺の方を見ているが尻尾は振っていない。

 「変な犬」と思いながら興味半分で説明カードを探したが張られていなかった。

 間に合っていないのか何の情報も書いていないし値段も付いていない。

 ケースの前で止まったてその子犬と目があった瞬間、俺に何かを訴えているような気がした。(なんなんだこの感覚は?)

 何故かこの子犬は俺が飼わないといけないと耳元でささやいような気がしたが、誰も俺の周りには居ない。

 好きで毎週見ている「何でもお宝鑑定団」でもよくそんなことを言っている奴がいるが、そんなのに限ってお宝ではない評価が下るのを見ては、その人物の見る目の無さに意地悪くほくそ笑んでしまう。

 その俺がこんなことを思うなんて今日は何かがおかしいようだ。

店員を呼ぶと、いかにも動物が好きそうな30代半ばと思われる可愛い女性がやってきた。

 名札には『店長 山中』と書かれている。

 その時、自分でも思ってもいない言葉が口から飛び出した。

 「この子犬って何の情報もないけれど、とても可愛いので欲しいんですが・・・」とトンでもないことを言っている自分に驚いたというか、誰かに言わされているような気もした・・・がそんなことは有る訳がない。

(鑑定団に出てきたおやじたちを馬鹿にしたせいか?)

 その言葉を最後まで言い終わらないうちに、山中店長は

 「この子、今朝店の前に居たんです。見たことも無い犬だったし迷子にでもなったのかと思って拾い上げると、首輪もしていないし、この店はドックランも併設していて車でしか来れない場所で回りに地道も残っているところなのに、あれだけの大雨にこの子ったら濡れても居ないし足も汚れていないんです。

 きっと、誰かが何かの理由で捨てていったのだろうと思ってここに一旦入れていたんです」

 「そうですか、こんな可愛いのに捨て犬ですか・・・」

 また、わけの分からないことを勝手に喋っている。

 「私も売るわけにもいかずどうしようかと悩んでいたところなんですが、貴方に引き取っていただけたら私もこの子も大助かりです」

 「捨てていかれた方が気が変わって、もう一度ここにこられたらどうします?」

 「余程のことがあったのだと思います。この子もそんなに寂しそうではないし、手放す理由はハッキリしていたんだと思うので二度とここに来ることはないでしょう。来られてもお引取りいただこうと思っています。遺失物ですが生き物ですからそれなりの対応を取ったと説明させていただきますし、通常であれば殺処分されても仕方のない状況です。」

 「いや、もし持ち主が来られたら私の住所を教えていただいて結構ですよ、その時はこの子が判断できるような気がします」

 と言いながら、俺は何をしているんだと頭のどこかで考えている。

 「この子も良い人に出会ったようですね、ところで初めてお越しいただいたと思うのですが・・・」

 「ええ、車があまりにも混んでいたのでなんとなく寄ってみたんです」

 「やはりこれは巡り合わせですね。で・・・」

 「・・・ああそうですね何もお伝えしていなかった、私は鷹山(たかやま)といいます」

 「鷹山さんは、子犬は初めてのようですね」

 「金魚も飼ったことが無くて、どうも世話も嫌で昔から生き物は苦手です」

 だったら、断れば良いじゃないかと考えてもその言葉が出てこない。

 「まあ、そんな鷹山さんが一目ぼれした子犬なんてすごいことです」

 「では、一式必要になりますがこの子を貰っていただけるということであれば、私がプレゼントさせていただきます」

 「それは、駄目ですよ。ペットショップに来て全てただで持って帰るなんてできません」

 「じゃあ、一つだけ条件を出させてもらうのでその条件を呑んでいただければと云うことでどうでしょう?こちらもお金をいただくわけにはまいりませんから」

 「分かりました。何でも遠慮なく言ってください」

 「この辺に来られたときは、お店に寄ってこの子の様子を教えて欲しいのです」

 「そんな簡単なことでいいのですか?」

「 ええ、この子は今まで見たことがない犬種でミックスだと思うのですがよく分かりません、私たちの言うことが子犬なのにしっかり分かっているようで、非常に賢い子犬です。だから勉強のためにこの子の状況を時々教えて欲しいのです」

 「そんなことなら、この子を連れて来ますよ、元々は貴方に助けてもらったんだから」

 「お願いします。それじゃあ用意させてもらいますので少しお待ちいただけますか」

 と云うことで、俺の意思とは関係なく?突然ではあるがこの俺が子犬を飼うことになってしまった。

 ケースの中の子犬を見ると、俺につれて帰ってもらえることが分かっているようで、尻尾を少し振って『よろしく!』といったような気がした。

 「お待たせしました。ケースとそれに付ける水入れにマット、これは餌を食べさせるときの容器と水の容器、トイレ、散歩するときのリード、それに餌とトイレシート。これだけあれば大丈夫です、後は必要に応じてここでお買い上げいただければ」

 「分かりました。ただ、餌とトイレシートは消耗品なので買わせてもらいます。後はプレゼントと云うことでいただきます」

 「かしこまりました。ではレジのほうにお願いします」

 会計をしながら山中店長は

 「名前が決まったら教えてくださいね」

 「もちろんですよ」といいながら若いのに店を構えるなんて立派だと思い

 「お若いのに店の切り盛りなんてえらいですね」とまた勝手にしゃべっていた

 「小さい頃からの夢で、両親に足りない分を出してもらったんです。少しずつでも返さないといけないし、これで当分結婚しろともいわれないし、このまま諦めてくれるといい のですが・・・」

 「そうですか」と返事しながら、若い独身女性と不思議な縁で知り合えたことに感謝した。

 「純ちゃ~ん!お車までお持ちするので梱包手伝って~」と若い女性店員に声をかけるとカートに手際よく乗せた商品を指差した。

 子犬は専用の持ち帰り用の可愛い犬と猫のイラストが付いた穴あきダンボール箱に入れられ山中店長が運んでくれた。

 荷物をラゲージスペースに積込むと、子犬の入った箱を助手席に置いてシートベルトで固定した。

 運転席に乗り込んでエンジンをかけると

 「じゃあその子よろしくお願いしますね」と山中店長が頭を下げた。

 「こちらこそ色々ありがとう。また近いうちにお邪魔しますよ」と車を発進させた。

あれほど渋滞していた車が嘘のようにいなくなり、スムーズに道路に出ると二人でまだ見送ってくれていた。

 いい出会いが出来たと楽しい気分で帰路についた。

 しかし、動物嫌いで特に嫌いな犬と俺が暮らすようになるなんてまだ信じられない。

助手席の犬の入った箱は、全く気配がない。

 途中信号で止まったときに気になって覗いてみたら、子犬と目があってドキッとした。

 あまりにも可愛いし賢そうなので、まあ一度トライしてみるとするかと云う気になった。

 以前、動物を飼うと遠出ができないと友人が言っていたが、俺は出かける機会も少ないし、何なら連れて行けばいい。

 俺は、プロの画家。

 ただ、絵だけでは食っていけないので一日家に居ることを利用してデイトレーダーもしているが、どうもこちらが本業のようで才能があるのか生活できる収入は十分ある。

 そんなことばかりしていたので女性には全く縁がなかった。

 知り合いにプロの女性を利用する連中も居るが、俺はどうも苦手なので若いころ友達に連れられて数回しか行ったことがなく、年にしては性欲が無さすぎると言われるが、最近特に面倒になっている気がする。(老化が急速に進行中なのかも?)

 友人からは「まだ早すぎる」と言われるものの仕方がない。

 

 家の駐車場に車を止め、雨の中荷物を家に運び込んだ。

 当然、子犬は一番先に入れておいたがダンボールのままフローリングに置いた。

 我が家も俺も気にいってくれるとありがたいのだがとダンボールを開けると、可愛い目で俺を見上げながら尻尾を振ってくれた。

 まずまず気に入られたようだ。

 

 両手で持ち上げそっとリビングの先日敷き代えた夏用のマットの上におろした。

 「そうだ、名前をつけなくちゃ」と思ったが性別も知らないことに気がついた。

 もう一度両手で抱えて、確かめるが全く分からない。

 なので、どちらでも通じる名前にして、山中店長に見てもらったときに「ちゃん」か「君」をつければよいと適当なことを考えた。

 梅雨入りした日に出会ったということで、「梅雨(つゆ)」ていうのは何か変。

 英語にしても「レイニーシーズン」で元々英語では季節感が全くなくて無味乾燥な言葉で、「レイニー」も可愛くない。

 そうそう「梅(うめ)」はおばあさんみたいだけど「プラム」って良いんじゃないかって、こんなことで名前決めてもいいのだろうか?

 そうか、子犬に決めさせようと最初に「レイニー」と呼んだが俺のほうを見ているだけで反応はない。

 「ポチ」「ちび」「あめ」「うめ」と適当に呼んでも反応しない。

 それ以上は思いつかないので最後に「プラム」と呼ぶと、可愛い声で「ぉん」と鳴き俺のほうにトコトコと尻尾を振りながら丸い塊が動き出し、座っている俺の前まで来てから俺の出した右手の中指をペロッと舐めた。

 「お前、プラムが良いのか?」と云うともう一度ペロッと中指を舐めた。

 俺の言葉がわかっているし、自分の意志も嗜好も持っている。

 犬ってこんなに賢いものなのかと驚いた。

 小さい頃に再放送で見た「名犬ラッシー」は犬に噛まれるまで良く見ていたような気がする。そいは、とてつもなく賢い犬だった。

 安易だけどプラムにしようともう一度確かめるつもりで

 「プラム!」と呼ぶと、また可愛い甲高い声で「ぉん」と返事をした。

 この瞬間に俺の犬嫌いはどこかに行ってしまったようだ。

 俺は、プラムを両手で抱えて顔の前まで持ち上げると

 

 「お前の家はこれからここだよ。それに俺はお前の飼い主じゃなくて友達だよ。よろしく!」と話すと「ぉん」と鳴いて、鼻の頭をペロッと舐めた。

 なんて可愛くて従順な生き物なんだろうと、この年になって遭遇した大発見と言える。

 この年で俺が独身でいる理由には色々ある、第一は女性に縁がなかったといえばそれまでだけど、縁を作らなかったとも言える。

 要するに人と付き合うのが苦手なのだ。

 相手に合わせないといけないことや思い通りに行かないことが人間関係には男女を問わず付きまとう。

 その中でも、男と女と云う関係は、俺にとって面倒なことばかりでいつの頃から女性とは一定の距離を保つようになった。

 これは食わず嫌いと云うことなのかもしれない。

 動物嫌いもその一つだが、動物は特に言葉も通じないし何を考えているのか分からない。

 小学校のときに飼育係が回ってきて、ウサギや十姉妹などの世話をしなければならなかったが、臭くてたまらなく嫌だった記憶しか残っていない。

 夜店ですくった金魚の世話も嫌だった、いらないというのに持って帰らされた。

 金魚鉢の掃除は無理やり妹に押し付けた。

 自分で汚したものなら自分できれいにしたら良いのにとずっと思っていた。

 そして小学校3年のときに親父の勤めている工場の犬に噛まれた瞬間、動物嫌い人間が誕生した。

 その俺が、子犬を自らの意思で飼うなんて全く自分でも信じられない出来事なのだ。

 ただ、山中店長も言っていたけれど、プラムとは何かの巡り会わせなのかも知れない。

 プラムでなければ俺の動物嫌いは続いていただろう。

 今でも何故、ペットショップなんかへ入ったのか理由が分からない。

 と云うことで家の中には子犬が一匹走り回っている。 

 

第2章 プラムの正体

 プラムを飼うということで、ネットで子犬の飼い方を検索した。

 やっぱり、面倒臭いことがいっぱい書かれている。

 特に、病気になると大変なようだし、しつけもしっかりするようにとか、散歩は大切だとかあれこれ書かれている。

 やっぱり、何故こんなことになったのかは今でも自分の行動が理解できない。

 とはいえ、同棲?が始まったのだ。

 ゲージを組み立てて、夜はゲージ入れるようにしつけることにした。

 トイレも教えないといけないし・・・。

 俺が、一生懸命説明書を読みながら組み立てている傍で、プラムは俺を見上げている。

 『ねえ、鷹山さん』と俺に話しかけるような声がした。

 見回しても誰もいないのは当たり前だ。

 『私だよ、下にいるよ』と続けて聞こえた。

 えっと思って下を見ると、プラムがこっち向いて話しかけたような気がした。

 「まさか」

 『まさかじゃなくて、私だよ』

 「お前、しゃべれるのか?犬がしゃべるなんて聞いたことないよ。漫画じゃあるまいし」

 『漫画は知らないけど、私が話しているのは本当だよ』

 夢を見ているような・・・頭がパニックだ。。

 『事情があって、こんな格好はしているけど、本当の犬じゃないんだ』

 「俺の常識を超えているから何を言っても信用するしかないけど、なんでまたよりによって俺なの?」

 『何となく、やさしそうで私の力になってくれそうだと思ったの、あの店長もいい人だけどペットショップではね・・・。』

 「頭がおかしくなったんだよね、犬を飼うなんて俺が思った時点でどうかなったんだよきっと・・・これは夢だ・・・独身生活が心を歪ませたのかもしれない、こんなことになるなんて・・・これからどうしたらいいんだろう」

 『ちょっと待ってよ、あなたをペットショップに呼び寄せたのも、心にもないことを言わせたのも私なの、そんな力が私にはあるの』

増々おかしくなってきたようだと心の中でつぶやいた。

 『だから、そうじゃないの!あなたは普通で何も変わってはいないの!私がやったことなの!私の話をちゃんと聞きなさい!これからのために』

 「なんで、俺なのさ?何を企んでいるの?でも、そんな子犬の格好してて真剣な話されても、説得力無いよ」俺は何となくこれが現実かどうかはどうでもよくて、どうなるのか知りたくて、子犬の話を聞くことにした。

 『順番に説明するから、しっかり聞いてね』

 『まず、私はあなたが理解しているのとは少し違っていると思うけれど、れっきとした正真正銘のあなた方が一般的に言う地球外生命体なの』

 「宇宙人ってこと?」

 『そう』

 「信じられない!どう見てもしゃべる犬だよ」

 『今はそうしているの。だって宇宙人ですって宇宙船で突然現れたらパニックになるでしょう』

 「子犬がしゃべるのも結構それに近いと思うし、宇宙人って言われても・・・」

 『だけど、そうだから仕方がないよ』

 「で、何しに来て、なんで子犬の恰好なの?地球を滅ぼしに来たんじゃないの?」

 自分でも馬鹿なことを言っていると思いながらも状況が理解できていないから仕方がないと思うようにした。

 『違うよ!不時着したの、ここに来る気はなかったけどシステムトラブルで全然違うところに不時着してしまったの、お父さんやお母さんと遊びに行く予定が遅れてしまって、一人でセットしたらこんなことになったの』と一気に話すと、目から涙がボロボロと流れ出してきて、わんわんと泣き出した。

 犬だからワンワンでわなくて、本当にわんわんと人間と同じように泣いている。

 それも、とても子供っぽい。

 「わかったから泣かないで・・・」

 「君の話はにわかに信じがたいけど、きっと本当と思う。嘘を言う必要なんてないし、犬が話すこと自体あり得ない」

 「そうすると、犬ではない。なら、俺はこれから君のためにどんなことをすればいいのかな?」

 『わからない。だって、私はまだ子供だしそんなにいろいろな知識ないし』

 「ご両親が今必死になって探しているところなんだろうね」

 『うん、そうだと思う』とまたわんわんと泣き出した。

 俺は、なんだか可哀想になって、子犬の恰好をした宇宙人の頭をなでた。

 『私、ここに不時着した時に怪しまれないようにと子犬の姿に変わったの』

 『どんな星でも生きられるような装置で、子犬の恰好になると、私自身が子犬と同じ食べ物で、同じ環境で生きて行けるようになっているの。でも、これが一番安全な選択だと計算で出たからその通りにしただけ』

 「そうなんだ。で、いつまで子犬でいるの?」

 『わからないの。ここの環境や条件によって変化するから予測はできないの』

 「ご両親が見つけてくれる保証はあるの?」

 『きっと探し出してくれると思う。でも宇宙船も壊れてしまったし、この広大な宇宙の中から私を探し出すのはそんなに簡単じゃないの』

 「そりゃそうだろうね。成り行きだけど、それまでは俺が面倒見てあげるから頑張ろう!」

 『ありがとう』

 『システムが選んだ人が本当にいい人で良かった』

 『二人だけの秘密で・・・』

 「当たり前だよ。煩わしいことはたくさんだし、マスコミは嫌いだから」

 「ご両親が見つけてくれるまでは共同生活だね。さみしいとは思うけどしっかりするんだぞ!」

 『よろしくお願いします』と子犬が頭を下げた。

 『私、とても疲れたので少し眠ります』というとトコトコと組み立てばかりのゲージに入って、夏仕様のシートの上にゴロリと横になると目をつむってしまった。

 相当疲れたのだろう。って言うか、これが話どおりとするとはるか想像を超える疲れだろう。

 すぐに眠ってしまったようで、眠っているのを見ているとかわいい子犬にしか見えない。

 ただ、意思を持った宇宙人であることは間違いなく、これからいろいろと話をしてお互いの理解を深めなくてはいけないが、犬扱いはできない。

ゲージは閉めず、開けたままの状態にした。

 

 そんなこんなで、子犬の宇宙人をゲージで飼うというか一緒に暮らすことになった。

 

 また、外は雨が降り出したようで、ムシっとした梅雨らしい粘り気のある空気が膚にねっとりと絡みついた。

 

 さあ、明日からどんな生活になることやら、ただ、どこの星から来てどんな形をしているのだろうか?

 こんな地球規模の出来事に俺ごときが関わっているだけでいいのだろうか?

 もし、子犬が死んだりしたら宇宙戦争になることもあるかも知れない?

 なんて考えていたら、頭がどんどんさえてきて眠れなくなってしまった。

 俺一人で抱えきれる話では無いが、何とか約束は守らないといけない。

 子犬はまだ宇宙人でも子供なのだ。

 俺は、台所に行き冷蔵庫から出した氷を大きめのグラスに入れ、カティサークソーダで割り、そばに置いてあるスケッチブックにぐっすりと眠っている子犬を描いた。

 きっと、両親から離れて不安で淋しいだろうけれど、一人で子犬の姿になっても頑張ろうとする子供宇宙人の健気さに涙が出た・・・俺も涙もろくなったものだと痛感する。

 何が何でも、この子を守らないといけない。

 どうやら俺の人生の中で、一番大きな出来事が始まったようである。

 

 ということでした。

 漫画チックな展開で、才能の無さを感じる次第です。

 ただ、これが続きの「3章」と「4章」もあるので驚きです。

 これはそのうち・・・って、「ミンク工房」は俺の日記だから何でもありです。

 

 ところで、昨日のボンドはまだ乾かないし、でも、今日は暖かかったので「モミジの植替え」をしました。

 小鉢だけど12個植え替えたのです・・・偉い!!

 でも手が汚れていたのもあった写真を撮ってないので載せられません。

 明日は雨だし・・・ということでこんなことになりましたとさ、笑止!!